「1年間で資産を二倍にする方法 シリーズ1」
この記事は、『株の売建て(カラ売り)で あなたも億り人に』のシリーズ2に相当する記事です。
株式投資でおカネを増やすことで問題を解決して頂くことを目的に書いたものです。
主として株式投資をスタートして1年以上の方々向けに株式投資で「信用取引」を活用して大きく儲けていただくノウハウをお教えするものです。
前回の記事で案内申し上げた通りにANAホールディングス【9202】を手掛けて頂いた読者は、このシリーズがお手元に届く頃には同銘柄の売建て(カラ売り)で相当儲けて頂いたものと拝察致します。
おめでとうございます!
株を買えば上がる、という時代は終わっています。
「株は下がるもの」と思ってください。
買いしかできない株式投資スタイルの投資家は、今年の何度かの暴落で大損をした筈です。
この記事では、下落・暴落を逆手に取り、「1年間で資産を二倍にする方法と秘策」を伝授します。
原則として、すでに「信用取引」口座を保有しておられることを前提とします。
これから「信用取引口座を開設することをご検討中」の方は前著をお読みください。
念のため、簡単に開設方法を、最終章で説明します。
目次
第1章 11月の株式市場はどうだったか
第2章 ANAホールディングス【9202】
第3章 ドテン売買の手法
第4章 空運業界
第5章 追証
おわりに
第1章 11月の株式市場はどうだったか
この記事を書き終えた11月30日の東京株式市場で、日経平均株価を対象としたオプション価格から算出する日経平均ボラティリティー・インデックス(VI)が上昇し、前日比1.80ポイント高い29.13で終えました。
終値としては2020年10月30日(30.45)以来、1年1カ月ぶりの高水準となります。
株価は前場はプラスで推移していたものの、後場に入って米モデルナのステファン・バンセル最高経営責任者(CEO)が「新型コロナウイルスの変異型「オミクロン型」に対する既存ワクチンの有効性は低い」との予測を示したと伝わり、リスク回避の売り圧力が強まりました。
オプション市場では、下落リスクのヘッジ目的でプット(売る権利)の買いが膨らみ、日経平均VIの上昇につながったものです。
東京外国為替市場で、円相場は上げが加速しました。
15時過ぎには米ドル/円は112円98銭近辺と、前日の17時時点に比べて57銭の円高・ドル安水準に上昇し、連日で112円台を付けました。
14時時点は同1銭円安・ドル高の113円57~58銭で推移し、今現在は、仲値で113.04円です。
日経平均株価は前日比462円安の27,821円で取引を終えました。
節目となる28,000円を終値で割り込むのは、10月7日以来の、約2カ月ぶりです。
モデルナの最高経営責任者(CEO)のバンセル氏はこのインタビューの中で、「ワクチンにデルタ株の時と同等の効果は期待できない」との見方を示し、有効性は目に見えて下がるだろうとしたうえで、「どの程度かは分からない。データを待つ必要がある」と述べました。
同氏が話した科学者らは全員、先行きに懸念を示したと伝わり、アジアでも、市場はこれに過敏に反応しました、
韓国の総合株価指数が2.4%、香港のハンセン指数が1.6%、それぞれ下落しました。
30日の中国・上海株式相場dsけが4営業日ぶりに小幅に反発しました。
上海総合指数の終値は前日比1.1904ポイント(0.03%)高の3563.8872だったのです。
朝方発表の中国の11月の製造業購買担当者景気指数(PMI)が市場予想を上回って改善し、足元の中国景気が回復しているとの期待が広がって投資家心理を支え、「オミクロン株」に勝った形でした。
12月1日の02:55現在、新型コロナウイルスの変異型「オミクロン型」の世界での感染拡大を嫌気し、欧州市場は前日比2~3%安で取引が始まっています。
ダウも34,928.70で前日比-207.24(-0.59%)の下落です。
専門家は背景として、韓国政府が29日に新型コロナ規制の緩和計画を棚上げしたことや、日本で30日にオミクロン株の感染者が初めて確認されたことを指摘しています。
市場関係者は「変異ウイルスの感染拡大で、経済活動がどこまで制限されるかに関心が集まっている。当面はウイルスの感染力などの情報や各国が打ち出す対策に左右される、神経質な値動きとなりそうだ」とつい2日前まで話していました。
30日の日経平均先物は、一時740円安の27,480円になりました。
今日12月1日の日本株は、どうやら続落しそうです。
振り返れば、2021年9月2日の東京株式市場で日経平均株価は4日続伸し、前日比92円49銭(0.33%)高の2万8543円51銭で終えました。
7月14日(2万8608円)以来、1カ月半ぶりの高値でした。
前日の米ハイテク株の上昇を受け、東京市場でも「値がさ」の半導体関連銘柄への買いが優勢でした。
一方、日経平均は前日までの3日間に800円あまり上昇しており、幅広い銘柄に利益確定の売りが出て下げに転じる場面もありました。
その日の後場寄り付きの東京株式市場で日経平均株価は小高く、前日比90円ほど高い2万8500円台前半で推移し、午前に続き、グロース(成長)株への買いが断続的に入っており、指数を押し上げました。
このあたりで高値掴みしていたらアウトです。
前著でお教えした通り、RSI44近辺は買ってはダメで、売り建てです。
もっともその頃は「足元では相場を方向付けるような新規の材料が少なく、積極的に上値を追う展開になりにくい」(国内運用会社)との見方もありました。
「いけいけどんどん」となった読者もいたかも知れません。
ダメです。
株は下がるものなのです。
感謝祭の休場明け直後となった11月26日のNYダウは、いきなり905ドル(約2.5%)安の34,899ドルと、一時は1,000ドルを超える今年最大の下げ幅となりました。
もちろん、これは南アフリカで見つかった新型コロナウイルスの変異株に対する懸念の下げによるものでした。
それでも、高いところは売り建てであって、買いではないことを肝に銘じてください。
「買いたくなったら売り」くらいに考考えおいてちょうど良いのです。
南アフリカの医療機関からの初期情報によると、この変異株は「B.1.1.529」と呼ばれ、体の免疫反応を回避したり、感染力を高めたりする可能性がある「非常に珍しい」変異を持つと言われています。
26日は感謝祭の祝日明けで米株の取引時間も午後1時(日本時間27日午前3時)まででした。
この日も休暇を取る市場参加者が多く、売買が限られるなかで「新変異型への懸念が強烈なリスクオフ(回避)を招いたのです。
結局、ダウ平均の終値は1カ月半ぶりに3,5000ドルを割り込んだのです。
下落率が8%超になったアメリカン・エキスプレスをはじめ、景気動向に敏感な金融株の下げが目立ちました。
国境を越えた人の移動が再び制限されて航空需要が細るとの思惑から、航空機メーカーのボーイングは5%安になり、ユナイテッド航空やデルタ航空の株価も大きく下げました。
ナスダック総合株価指数も2%以上下げ、ほぼ全面安の展開になりました。
リスク回避の動きは様々な市場に波及しました。
原油価格の国際的な指標であるニューヨーク市場のWTI先物は一時1バレル67ドル台まで急落し、下落率は14%に達しました。
新型コロナの感染再拡大が世界的な景気減速につながれば、原油などの資源需要に響いてきます。
ジェット燃料も上がります。
「安全資産」とされる米国債には買いが集まり、長期金利の指標になる10年物国債利回りは約1.48%と0.15%以上下がりました(価格は上昇)。
日米金利差の縮小を受け、外国為替市場では急速な円高・ドル安が進み、円相場は一時1ドル=113円台前半をつけました。
日本時間の26日朝は115円台でした。
同じく安全資産と目されている金先物が買われる一方で、値動きの大きい暗号資産のビットコイン価格が急落するなど投資家の選別が進みました。
株価の予想変動率を示し、投資家心理を測る目安になる米VIX指数は28と5割強上がりました。
不安心理が高まった状態とされる20を大きく上回ったのです。」
【まとめると】
・欧州株が急落、今年最大の下げ 独仏など4~5%安
・NY商品、原油が急落 13%安、コロナ変異種を警戒 金は続伸
・新変異ウイルス、米欧も渡航制限 南アは反発
・南アで新変異型、各国警戒強める 香港で隔離中に感染も
・ダウ平均は週間で2%安
・各国警戒強める 香港で隔離中に感染も
・ダウ平均は週間で2%安になった。
・週初にはバイデン米大統領が米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長を再任する方針を表明し、金融政策の先行き不透明感の後退で米株は買われる場面もあった。
・足元では再びコロナの感染再拡大の懸念が強まり、景気や物価、政策の行方を見通しづらくなっている。
南ア型とは関係なく、すでに新型コロナウイルス感染再拡大の震源地となっている欧州では、25日にスロバキアが2週間のロックダウンに入り、チェコも期間30日の非常事態を宣言しました。
またオランダも抑制に向けて強力な対策を講じると発表しました。
さらにポルトガルも感染対策を12月1日から再導入する方針を決め、空路での入国者に対し、ワクチン接種の有無にかかわらず、到着時にコロナの陰性証明書の提示を求めました。
違反した航空会社には乗客1人につき2万ユーロの罰金を科すと発表しています。
この時点で空運銘柄を買った人がいるとすれば、それは完全な「逆張り」で、いけない手法です。
明らかに売り建てなのです。
このような混乱に、発見された南ア型の変異株が輪をかけたわけです。
そしてWHO(世界保健機関)は26日に緊急会合を開き、南ア型変異ウイルスを「懸念される変異株」に指定し、呼称を「オミクロン株」としました。
この「オミクロン株」の恐怖で、先週末の世界の株価指数はアメリカだけでなく、フランスCAC40が4.75%安、ドイツDAXが4.15%安、イギリスFTSE100が3.64%安、イタリアFTSE MIBが4.60%安、 スペイン IBEX35が4.96%安、オーストリアATXが4.18%安と、欧州主要国の代表的株価指数は軒並み4%を超す大波乱となりました。
日本においても米欧の急落を先取りするように、26日の日経平均は747円安(一時は894円安)と、25日、75日、200日移動平均を一気に下回り、28,751円となりました。
実は日本の場合は、「オミクロン株」への恐怖だけではなく、中間配当再投資で建てた先物を実際の配当を受け取ったファンドが現物と置き換えることによる先物の売りも大きかったのです。
「つなぎ売り」の一種です。
日経平均シカゴ先物はさらに大幅安の28,155円で帰ってきており、29日の連続下げは当然誰でも予想できました。
「オミクロン株といえども、しょせんは新型コロナウイルスの変異株の一種である。人々にまったく免疫力がなかったところで発生した当初のパンデミックとは大きく違う。一部のメディアはデルタ型よりもさらに感染力が強く、既存ワクチンの有効性が問題になっていると言っているが、まだ本当の実態はわからない。ただ、製薬各社も既存のワクチンの有効性の確認を急いでおり、2週間以内には結論が出せるとのことだ。もし既存ワクチンの有効性に問題があっても、100日以内に「修正されたワクチン」を出荷できるとしている。このように、ワクチンや治療薬も使用がまったく不可能というわけではない。冷静に判断すべきだ。世界の株価も、冷静になるまでの時間はそう長くない」といった楽観論をあざ笑うかのような発言が、ワクチンメーカーのCEOの、いったいどの口から出てくるのでしょうか?
30日で11月も終わりました、月足チャートでわかるように、9月は大きく上ヒゲ(30,670円)を付けたあと、終値(29,452円)で元に戻りましたが、10月は逆に長い下ヒゲ(2,7528円)を付けたあと、買い戻されて2,8892円で終わっています。
11月末の終値の位置がどこになるかは、その時点では分かりませんでしたが、ファンダメンタルズで見るかぎり、下げっぱなしになる相場ではないようにも思えます。
ただ、怖いのは、今日5.49兆円もの出来高が」27,828円で終わって買われた、ということです。
逆指値にいえば、価格帯27,500円以上は「しこり玉」となり、ちょっと上がっても戻り待ちの売りが出る相場が今年いっぱい続きそうだ、ということです。
ですから、基本的に、「上がったら売り建て」で良いと思います、
第2章 ANAホールディングス【9202】の返済
ホールディングス【9202】は11月25日に、来月12月10日(ロンドン時間)に発行する2031年満期海外円新株予約権付社債の1,500億円分のユーロ円建て新株予約権付社債の転換価格を2,883円にしたと発表しました。
転換価格の2,883円は24日の株価を10.02%上回わっていました。
この思いもしない禍で、飛行機に乗る人は激減すると予想され、ANAホールディングス【9202】を始め、エイチ・アイ・エス【9603】、日本航空【9201】は今一段の下落予想されていたところです。
待ちに待った航空事業(民間機・防衛関連機器代理店及び販売、ビジネスジェット、中古機・パーツアウト)、交通・社会インフラ事業を中心とした「空運世界同時株安」が来ています。
しかし前述の理由で、安易な買いは禁物です。
前著で売り推奨をした夏の時点での、各社の給料の値下がりの上位をもう一度見ます。
12位の日本航空【9201】、ANAホールディングス【9202】が目立ちました。
ANAホールディングス【9202】に至っては、2022年3月期の社員の年収が2020年3月期から4割減となる見通しが報じられていました。
この記事こそが「そのような企業の株が上がるわけがない」と判断して売り建てを推奨した最大の根拠です。
2021年10月04日の時点では、 空運2銘柄とも揃って反発していました。
その前週末の米国株市場ではNYダウが、480ドルあまりの上昇で切り返したからです。
製薬大手のメルクが新型コロナウイルスの飲み薬の有効性を確認し、早急に使用許可を申請することを発表、これを受けて経済活動の正常化が早まるとの期待感が景気敏感セクターを中心に買い戻しを誘発したからです。
東京市場でも世界的な旅客需要回復を見込んだ買いが空運株に流入し、2社とも「あや戻し」をしました。
ここで、当然売建て(カラ売り)です。
案の定、2021年10月29日に出た第2四半期は大赤字でした。
経常損は▲1,100億円以上でした。
四季報でも下記のように書かれていました。
「【連結事業】航空78(-74)、航空関連5(2)、旅行5(-11)、商社9(-5)、他2(0)【海外】25 <21・3>
【連続赤字】貨物は単価高水準で前年超える。旅客も羽田国内線が復調。が、国際線でコロナ影響深刻、出張需要戻らず底ばい。人件費・償却費抑制でも補えず、営業赤字続く。会社計画は強気。税効果縮小。
【最適化】中部、福岡発着のレジャー路線はピーチに移管し収支改善へ。地方路線など一部の羽田便を幹線に転換。仮想旅行サービスを22年開始。継続前提に重要事象。
【業種】 旅客航空輸送 時価総額順位 1/3社」
これをなぜ買うのか皆目理解できません。
アメリカのJETSというETFがあります。
これはU.S. Global Investors, Inc.というところが運営するETFです。
構成銘柄の上位10位は以下の通りです。
企業名 ティッカー 比率
ユナイテッド・エアラインズ UAL 10.07%
デルタ航空 DAL 9.87%
サウスウエスト航空 LUV 9.78%
アメリカン航空 AAL 9.76%
フィデリティ・ガバメント・PF FIGX 5.46%
スカイウエスト SKYW 3.96%
ジェット・ブルー・エアウェイズ JBLU 3.78%
アレジアント・トラベル ALGT 3.72%」
エア・カナダ AC 3.70%
アラスカ・エア・グループ ALK 3.67%
航空大手4社だけで、全体の4割弱を占めています。
これが、11月26日の金曜日に、前回の戻り高値を基準とした水平ラインであるネックラインの21ドルをあっさり割りました。
ANAホールディングス【9202】は、週明けの29日から始まる週に、窓を空けて更にました。
第2四半期の決算書を精読すれば、ANAホールディングス【9202】の財務状態は、シリーズ1で紹介した時よりも悪化していました。
出典:ユーチューブ
加えて、信用の残高が多く、重たい状態で、MACDは完全に下落傾向を示しています。
出典:TV

上記のJETSと相関関係がある日本の空運銘柄が、29日以降下落するのは、ほぼ明らかでした。
株価が窓を空けて下っているときは、反転が確認できるまで買わないこと、逆にそこまでは売り込んで良いということです。
MACDかRSIが好転して、初めて買いです。
11月29日の大引けです
2,235円が支持線なので、2,270を割ると、後述する年初来安値にタッチする可能性すらあります。
実際2,253.5円(09:03)を付け大陰線となりました。
ファング株に対して、WTI原油の日足はバーレル85.34ドルを天井として毎日下がっており、JETSの下落とあわせると危険な下落のコンビネーションです。
株というものは、買えば下がるものです。
上がることはあまりありません。
この記事では、株式市場が暴落しているときでも儲けられる売買手法を伝授しています。
こういう相場でこそ、「売り建てとドテン買いの繰り返し」で大きく儲けることができます。
暴落大歓迎です。
「人が悲しんでいるとき喜ぶことができる」これがドテン売買です。
今は、財務省の矢野事務次官が述べているように「金利が安いので借り得」です。
シリーズ1で紹介した方法で短期借入をすれば、粗利益の絶対額を大きく、ガッツリ儲けることができます。
短期借入は、三井住友銀行かみずほ銀行のローンが金利が安くおススメです。
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第4章 空運業界
振り返れば、月初11月4日の日本株は、3日の米株式市場でダウ工業株30種平均、ナスダック総合株価指数、S&P500種株価指数がいずれも過去最高を更新したこの流れを受け、4日午前の日経平均株価、豪株価指数オールオーディナリーズ指数がいずれも上昇しました。
前場で日本航空【9201】が5日続伸しました。
前営業日比57円(2.3%)高の2,562円まで上昇しました。
2日、未定としていた2022年3月期(今期)の連結最終損益(国際会計基準)が1,460億円の赤字(前期は2866億円の赤字)になりそうだと発表しました。
新型コロナウイルスの感染拡大に伴う緊急事態宣言の発令によって旅客需要の回復が遅れるのは想定されていたため「驚きはない」との受け止めが多かったのです。
収益回復を期待した買いが優勢でした。
アイザワ証券の三井郁男投資顧問部ファンドマネージャーは、燃料費の上昇を運賃価格に転嫁するまでのタイムラグが短期的にJALの収益を下押しするリスクとして意識されやすいとしつつも、「投資家の目線は依然として経済正常化に伴う収益回復に向かっている」と話していました。
日本航空【9201】は同日、持ち分法適用会社のJALUX(2729)を22年3月をメドに連結子会社にする、とも発表しました。
市場では「コロナ禍で両社とも業績が低迷するなか、JALUXを子会社すればJALグループ全体でみれば業務効率化の可能性があり前向きな材料」(国内証券)との見方がありました。
JALUXは気配値を制限値幅の上限(ストップ高水準)の前営業日比400円(23.4%)高の2106円まで切り上げてストップ高貼りつきで引けました。
これを受けた連想買いで、ANAホールディングス【9202】も11月8日には2,918円を付けて、9,365,900株の大商いとなりました。」
この日のことはよく覚えています。
8日の東京市場は続落しTOPIX(東証株価指数)の業種別騰落率は、鉄鋼、農林水産、建設、その他製品、薬品など16業種が下落するなかで空運、海運が上昇しました。
前週末の米国市場は続伸し、ダウ、SP500、ナスダックとも最高値を更新しました。
雇用統計は非農業部門雇用者数が53.1万人増、失業率は4.6%と市場予想以上に改善しました。
週明けの東京市場は日経平均が124円高でスタートしましたが、買い一巡後は売りが先行し、資源価格高騰に伴う国内企業の業績悪化が意識され、じりじりと下げ幅を拡大しました。
個別銘柄では、業績見通しを減額した大林組【1802】、決算が市場予想を下回った清水建設【1803】清水建設が大幅安となり、神戸製鋼所【5406】、ジェイ エフ イー ホールディングス【5411】FRBなど鉄鋼株も売られました。
その半面、日本航空【9201】とANAホールディングス【9202】がしっかりでした。
今にして思えば、「コロナもそろそろ終息、我慢していた旅行、 GoToトラベル、空運は底を打った。買いだ」との甘い判断が、買い方の判断の間違いでした。
それからわずか2週間後に、両社とも大幅安となったのです。
これは、前述のように、複数のメディアで、南アフリカで新型コロナウイルスの新たな変異株が確認されたと報じられており、感染拡大による航空需要の減少を警戒した売りが出たことが原因です、
報道によると、新たな変異株は従来の変異ウイルスに比べて感染力が高く、既存のワクチンの有効性が低い可能性があるといいます。
また、空運のみならず、KNT-CTホールディングス【9726】 などの旅行や GoToトラベル関連銘柄も大きく売られました。
シリーズ1で案内どおり、9月の時点で、ANAホールディングス【9202】が資金繰りで息詰まるのは見えており、このコロナという恐ろしいものはそう簡単に終息することはなく、人を運べず「ただ同然の運賃」で雑貨を運んだところで、固定費さえ賄えない「限界利益」が稼げない状態になることは予想できました。
株は買っても儲かりません。
紹介のごとく、現下の「借り得」といえる低金利状態では、シリーズ1で紹介した寸借をしてでも売り建てるのが当然です。
それに気づかず、多くのアナリストや証券会社は、日本航空【9201】の赤字が縮小した、などとと喧伝し「空運は買い」との宣伝をしました。
極めつけは電話戦略をして「コロナウイルス感染拡大の影響は長期化していますが、国際旅客需要はアジア諸国を中心に各国の出入国規制が早期に撤廃される可能性が低いことから、本格的な回復にはまだ時間を要するものと想定します。また、国内旅客需要は10月以降、緊急事態宣言解除後の国内旅客需要が回復してきており、今期末にかけて力強く回復するものと見込んでいます」などと甘い希望的感想を語りました。
その目的は、三菱UFJ銀行などメガバンク3行と日本政策投資銀行から調達した劣後ローン2,000億円、そして「劣後債」と呼ばれる社債1,500億円を個人投資家に売りさばくことにあったのです。
当初利率は1.6%でした。
この買い煽りで踊らされた個人投資家が飛びつき、「1000億円程度」とされていた発行額は個人投資家の需要が強く、想定よりも増額しされました。
払込期日は10月12日で、当初7年間は固定金利でその後変動金利となる商品です。日本航空【9201】は、金利は「想定の範囲内」と述べましたが、今回の劣後債の発行で調達額は3,000億円になり、11月末には最大で500億円の劣後ローンの借り入れを予定していました。
出典:三井住友銀行
そこにもってきて今回の騒動となり、日本航空【9201】は「今後の事業環境の見通しなどを勘案して、11月に借入額を決定したい」などとトーンダウンしました。
社債に関する事項
(1)社債の総額
1,500 億円
(2)社債の利率
本社債には利息は付さない。
(3)満期償還
2024 年 10 月4日(償還期限)に本社債の額面金額の 100%で償還する。
(4)本社債の繰上償還
(イ)クリーンアップ条項による繰上償還
本(イ)の繰上償還の通知を行う前のいずれかの時点において、残存する本社債(以下「残存
本社債」という。)の額面金額合計額が発行時の本社債の額面総額の 10%を下回った場合、当
社は、その選択により、本新株予約権付社債権者に対して、30 日以上 60 日以内の事前の通
知(かかる通知は取り消すことができない。)をした上で、残存本社債の全部(一部は不可)を
その額面金額の 100%の価額で繰上償還することができる。
コロナ禍の長期化で需要低迷から脱却できておらず、財務基盤を厚くし、成長投資にも充てる、としていますが、日本航空【9201】は、昨年も公募増資で約1800億円を調達しており、自己資本比率は42・4%になっています。
オンラインで同日記者会見した日航の木藤祐一郎財務部長は「(資金調達は)「先手先手でやっていきたい。自己資本比率は高いが、(先行きは)厳しい状況も想定しなければならない」と説明していました。
しかし、「オミクロン株」が出てきて、日本政府は外国からの旅行者の入国を禁止し、鎖国になりました。
そのような中で、空運業界の経営環境はまことに厳しいものがあります。
感染力の強い変異ウイルス「デルタ株」、加えてオミの流行で、日本航空【9201】の旅客数は国際線でコロナ禍前の9割減、国内線も半分に達していません。
「10月の時点でも残念ながら厳しかったが現状で、2022年3月期連結決算の業績予想は未定となっています。
日本航空【9201】は、運よくこの「オミクロン株」ショック前に資金を調達しました。
会見では「コロナ禍後を見据えた投資にも振り向ける」、としていましたが、いまや原油高とこの「オミクロン株」の影響をもろに受けて、燃費の悪い大型機を環境性能の高い機材に交代させていくほか、格安航空会社(LCC)の事業強化などに充てるとしていた戦略は不発に終わりそうです。
米国務省は27日、南アフリカなどアフリカ南部8カ国への渡航警戒レベルを4段階のうち最も厳しい「渡航中止」(レベル4)に引き上げました。
新型コロナウイルスの新たな変異株「オミクロン株」の確認を受けた措置です。
米政府は26日、8カ国からの渡航を29日から制限すると発表していました。
こう措置は、各国が採用していくでしょうから、世界の飛行機の就航率は少なくとも20パーセント以上低下する、と筆者は考えています。
ところで、「劣後ローン」という商品は、上で説明の通り、ふつうのローンや社債より返済の優先度が低い代わりに、金利が高くつくものです。
つまり、2010年の時のように経営破綻した場合、保有している資産をすべて売却して、仮に剰余が出たとしても一番最後にしか返してもらえない「ハイリスク・ハイリターン商品」です。
「腐りかけの肉が一番美味い」と言いますが、この商品がそれでしょう。
日本航空【9201】は昔潰れたくせに、2012年に、かつての株主の株券を紙屑にして再上場しました。
ゾンビのように生まれ変わり、それからは懲りて「借金に頼らない慎重な経営」につとめ、経営の健全度を示す自己資本比率は年度末の数字で、13年度から一貫して5割を超えていました。
一方、ANAホールディングス【9202】のそれは31.4%しかありません。
自己資本比率は49パーセントを割ったら「危ない」と言われています。
日本航空【9201】は、航空会社としては出直り上場で徹底的なコスト削減をし、手堅い経営をしていましたが、そこをこの「オミクロン株」が襲いました。」
さなきだに旅客減少に見舞われた日本航空【9201】は、昨年1~3月期に再上場以降で初となる四半期ベースでの赤字に転落していました。
それから今年4~6月期まで、6四半期連続で赤字が続いています。
日本航空【9201】の経営陣は 「最悪期は背筋が凍った」と述懐していますが、本当に背筋が凍るのはこれからです。
新型コロナウイルスの感染拡大初期の昨春、航空券の大量キャンセルが発生し、「払い戻しがあいついで、月に500億円近くの資金が流出した」とのことです。
大量にキャンセルがあるという前提で多額の現金を常に用意しているわけでもなく、どんどん手元の資金がなくなっていく状況が続いていました。
企業は現金が回らなくなれば、運転資金の枯渇で倒産します。
第2四半期の決算書でそのリスクは読み取れました。
海外では、国を代表する「フラッグキャリア」でさえ、破綻や国の資本注入が相次いでいました。
日本航空【9201】は、運よく、「オミクロン株」来襲の前に、借り入れや融資枠の確保などを駆使してキャッシュを集め、さらに借金の割合を減らすために昨年11月には新しい株式を発行する増資を行って約1,829億円を集めました。
そのときも直近(9月末)の自己資本比率は4割超あり、「財務はANAホールディングス【9202】よりも良いのに、ANAホールディングス【9202】より早く増資するとは」(アナリスト)と市場から驚きをもって受けとめられたものです。
そのおかげで、今の日本航空【9201】は、手元の資金が今年6月末時点で約6,500億円(手つかずの融資枠3千億円を含む)あります。
旅客の減少などによる資金の流出は最悪期を脱しており、4~6月で月100億~150億円、7~9月は月50億円ほどになる予想です。
仮に想定の2倍にあたる月100億円ほどが流出したとしても、単純計算では融資枠をつかわなくても数年は耐えられます。
また、政府は10~11月までの早い時期に希望者全員のワクチン接種を終えると説明しており、直近では旅行や出張などの制限緩和の議論もでてきていました。
そのタイミングで、また資金調達に踏み切りました。
ライバルのANAホールディングス【9202】も昨年多額の増資や借り入れを相次いで実施しました。
「今年は大きな資金調達を決めてはいない。中堅各社の増資なども今年に入ってから相次ぎ、「航空各社の財務強化は一巡した」(アナリスト)という声さえ出ていた矢先のことでした。
直近の決算の説明資料を読むと、悪くなっていることが分かりました。
同社ホームページ
https://ssl4.eir-parts.net/doc/9202/tdnet/2052677/00.pdf
全てが株式に転換された場合は、自己株を除く発行済み株式数が11.06%増えます。
業務効率化のためのデジタル投資や新たな格安航空会社(LCC)ブランドの立ち上げの資金などに約500億円、2017年に発行し22年9月に満期となる新株予約権付社債の償還に700億円を充当し、残りは長期債務の返済に使う、としています。
(以下省略)
同社ホームページ
https://ssl4.eir-parts.net/doc/9202/tdnet/2052677/00.pdf
何のことはない、借金の借り換えです。
新株予約権付社債(転換社債型)の払込期日は2021年12月10日、償還日は31年12月10日(いずれもロンドン時間)です。
米国を除く欧州及びアジアを中心とする、海外市場で募集するものです。
全て株式に転換された場合は、自己株を除く発行済み株式数が11.06%増えます。
業務効率化のためのデジタル投資や新たな格安航空会社(LCC)ブランドの立ち上げの資金などに約500億円、2017年に発行して22年9月に満期となる新株予約権付社債(転換社債型)の償還に700億円を充て、残りを長期債務の返済に使うとのことです。
希薄化が嫌気されて「逆指値狩り」を狙った、ジョージソロスらが仕掛けているとも言われる大量の空売りが入り、加えて、追い打ちをかけるように、南アで異種新型コロナ(オミクロン株)が発生しました。
出典:BBC
https://www.bbc.com/japanese/59441279
旅行客の激減が予想される中、先述のとおり転換価格が2021年11月9日の株価2,880円に近い2,888円で決まりました。
近い将来、転換されて希薄化が実現することを嫌気して売られたものです。
この売り仕掛けは、海外の大手ヘッジファンド数社が組んで一斉にやった可能性があります。
「信用(貸借)倍率」が4.89倍、買い残が7859千株で、価格帯で見ると2,600~2,700円なので、29日の終値2,300円は11.53パーセント以上の下落です。
もしレバレッジ三倍で2,700円で1,000株買い建てているとすると、追証となります。
追証の通知後三日以内に追加証拠金を差し入れないと強制売却となり、その売り物が出てくるので更に株価は下落しました。
第5章 追証
読者には無縁のことと思いますが、説明しておきます。
「大きな含み損になったので、追加の証拠金を入れないと、建玉を強制的に売却しますよ」という、証券会社からの連絡です。
「信用取引」口座の開設方法
【例】マネックス証券
Q4ha[いいえ]としないと「次へ」を押しても「お取り扱いできません」となるのでご注意ください。
事項で再度個人情報を入力すればあとは同じです。」
出典:楽天証券・マネックス証券

売建て(カラ売り)の返済は、利が乗っているうちにおこないます。
チャート的に、年初来安値2,161円(2021年1月8日)にまで下がる可能性は、ほぼありません。」
返済買いは、あまり欲張ると踏みあげられるので、遅くとも今日12月1日中におこないましょう。
出典:野村證券
読者には関係ありませんが、2,800円で高値掴みしたANAホールディングス【9202】の買い方の追証は、委託保証金率が30%割れると、
先ず、証券会社の口座管理画面にアラートメッセージが表示されます。
委託保証金率(維持率)が20%(追証発生日) にタッチすると口座管理(口座サマリー・信用建余力)画面に追証メッセージ、追証金額(概算金額)等が表示されます。
追証発生の翌営業日/追証の解消期限までに計上されるように追加保証金を解消する為の必要金額を入金等により解消できなかった場合、以降の信用取引の新規建の注文は受け付けられなくなくなります。
そして、追証発生日より起算して3営業日目の正午までに計上されるように追加保証金を解消する為の必要金額を入金等により解消しなかった場合、建玉強制返済予定日時以降に強制決済がなされます。
つまり、追証発生日より起算して3営業日目の正午までに追加保証金の解消が確認できなかった場には、建玉強制返済予定日時以降に読者が保有する全ての建玉が、コンピューターがする反対売買による決済(強制決済)となります。
デイトレーダーの方が、ドテン買いが約定したら、買い建て値に40~50円乗せて売り指値を入れます。
デイトレードではこの値幅で十分です。
別の人が新たな空売りを入れ、買値よりすぐ下がる、ということが良くあるので、こまめに利益確定をしてください。
50円程度上がれば売り、下れば買う、を信用取引で1週間に何度もデイトレードするのです。
これがドテン売買のコツです。
そして、
「いったん指値を入れたら、あとは板を見ない」
ことです。
というのは、板には売り板であれ、買い板であれ「騙し」があるからです。
そして、得てして、厚い買い板がある時は下がり、大きな売り板が被さって出るときは上がることが多いのです。
おわりに
日本航空【9201】の増資発表直後に、アメリカの製薬大手・ファイザーの臨床試験で新型コロナ向けワクチンの有効率が90%を超えたという発表がありました。
まるで「神風」が吹いたかのうように、これが航空需要の回復につながるとの連想を生みました。
航空株が値を戻したのです。
公募増資を発表した2020年の11月6日から条件決定を迎えた11月18日までに、日本航空【9201】の株価は7%上昇しました。
その結果、調達額は当初見込みから147億円上振れて最大1826億円となりました。
ところが、ANAホールディングス【9202】の株は発表日から条件決定日までに7%下落し、調達額は当初見込みを269億円下回る、最大3,052億円となりました。
しかし、ANAホールディングス【9202】は10月に調達した劣後ローン4,000億円のうち、資本性を認定される2,000億円と合算することで、5,100億円の最終赤字による資本の減少を補うことを重視しました。
この観点からすると、公募増資などによる調達額は3,000億円台で及第点だったと言えるかもしれません。
実際、ANAホールディングス【9202】は傘下で旅行事業や航空券の営業を手掛けるANAセールス(東京・中央)の資本金を9億円減らし1億円としました。
昨日30日にこれを行って税法上の中小企業になったのが出前館【2484】です。
ANAセールスは旅行事業を4月にANAHD傘下の別会社に移管しました。
ANAセールス株式会社は、事業の更なる発展を目的として、2021年4月1日を効力発生日とし、ANAセールスの旅行事業 を、ANA X株式会社に会社分割により承継し、加えてANAセールスの商号を「ANAあきんど株式会社」に変更することとしたのです。
コピペチェック問題なし
さて、2社は公募増資などで調達した資金を主に債務の返済と、既に契約済みの航空機代の支払いに充当しました。
前向きな成長投資とは言えませんでしたが、ANAホールディングス【9202】の当時の中堀公博グループ経理・財務室長は「当社の持つ約3割の羽田国際線の発着枠は、やはり強みになる。こちらはもちろんJALさんよりも多く、ご評価いただいている」と述べました。
「ドル箱」とされる羽田空港の発着枠など、市場が資金使途以外に成長性の部分も一定程度折り込んでいることを示唆しました。
当然ながら、発着枠を持っているだけでは売り上げを生みません。公募増資を終えた2社は需要が先行して回復する地域や都市を迅速に見つけ出すべく、必死の1年間を送ってきました。
2019年4~6月期に1,000億円以上を売り上げた企業で、売り上げが大幅減少したのは運営施設が休園に追い込まれたオリエンタルランド【4661】と旅行需要が急減した元近畿ツーリズムを母体とするKNT−CTホールディングス【9726】です。
オリエンタルランド【4661】は、つい3日前に証券会社の人が「 GoToトラベルが再開されれば入園者が飛躍的に増えるので今が買いですといっていました。そのような宣伝に乗っていたら大変な目に合うところです。
慣れない遊園地などには手出しをない、ということが肝要です。
推奨したい銘柄の紹介など、積み残した事項もありますが、紙面の都合で今回はここまでとします。」
了
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